「突然の入院が、心や身体に興味を持つきっかけに」生徒インタビュー Part3 Sakaeさん

無限塾には、様々なプロフェッショナルを持つ大人や才能あふれる子どもたちが、合気道を学ぶことで日々の困難に打ち勝ち人生を豊かにしています。

「生徒インタビュー」の第3回は、無限塾東京/鎌倉の最年長であるSakaeさんに、定年後の新たな生き方と合気道の関係についてお聞きしました（文、撮影：すがわら）。

Sakaeさん
養神館合気道9級、合気道歴半年。機械設計のエンジニア(主に研究機関の加速器実験装置、原子力機器)に従事し、定年退職後にリラクゼーションサロンを鎌倉にオープン。また、高齢者向けにヨガを教えるなど、身体に関して理解を深めている。趣味はヨガ、ピラティスとスペイン語学習。

突然の入院が、心や身体に興味を持つきっかけに

——Sakaeさんは重工業のエンジニアから、リラクゼーションサロンのオーナーと中々変わったご経歴ですよね。どういった流れで今に至るのでしょうか？

大学で素粒子物理学を学んで、その後、重工業の会社に入りました。企画、設計から現場作業まで全部やるすごく忙しい部署でした。

エンジニア時代のSakaeさん。時代を感じますね。

８年前のある日、胸やけが収まらないので会社の診療所に行ってみたら、実は心筋梗塞だったんです。診断後に即、救急車で運ばれ入院。それまで大きな病気もなかったのでびっくりしましたが、そこから自身の関心や働き方が大きく変わっていきました。

リハビリとしてヨガを始めたのもその頃です。ヨガを通じて心や体に興味を持つようになり、60歳で定年を機にマッサージの仕事を始めました。

——合気道を始めたきっかけは何だったんですか？

私も他の人と同じようにもともと前から少し関心があったのですが、やってみようと思った一番のきっかけはヨガでした。

数年前に「オダカヨガ」というイタリアの空手チャンピオンが始めた、武道の要素を取り入れたヨガを練習していました。丹田を意識して、波の動きや円運動を流れるように行うのが特徴です。

オダカヨガを練習するにつれて武道に興味を持ったのですが、空手や柔道は体力的に難しいが、合気道なら自分でもできそうだと思い、無限塾の体験に参加しました。

——体験の印象はどうでした？

期待通りで、合気道なら打ち込む価値があるなと思いました。

ただ、稽古は思った以上にハードで、最初は汗が止まりませんでした。あと、先生が足から血を流していたのを指で拭いながら稽古しているのを見て「これはやばいところに来てしまった」「覚悟を決めてやる必要があるんだな」と思いましたね

——笑ギクッ！確かにあの時、座り技を練習しすぎで血が出て焦りました・・・ところで心筋梗塞という大きな病気をしたのにハードな運動をして大丈夫なんでしょうか？？

医者は身体をむしろ動かした方がいいとのことだったので、自分にとっては運動する良い機会になっています。

——合気道を続けて半年経ちます。Sakaeさんにとって合気道の魅力は何でしょう？

特にスムーズで無駄のないに美しい動きに魅力を感じます。また、生死をかけて戦う武道であるが故に、礼節を重んじ、相手を尊重する武道の心に触れられることがとても楽しいです。

——続けることで気づいたことはありますか？

合気道は本当に奥が深いですね。マッサージは、テキストやyoutubeをみればある程度学べますが、合気道は頭で理解できても実際にやってみないと全然習得できません。個性を持った相手に瞬時に対応し、しかも相手を傷つけずにコントロールするのが難しいのだと思います。

20~30歳下のメンバーと稽古に熱心に打ち込む

——合気道を半年やってみて、日常に変化があれば教えて下さい。

自身が経営するリラクゼーションサロンでは、自分も現場でマッサージをしますが、合気道と同様にお客様と気を合わせることを意識しています。

施術者の緊張は、ダイレクトにお客さんに伝わります。また、お客様も緊張していると深いリラックスが得られません。互いリラックスして、信頼し会える雰囲気作りを心がけるようになりました、

また、実際にマッサージをするときには、力が無駄なく伝わるように、指先ではなく身体の中心線を意識しながら正しい姿勢で押していく事ができるようになりました。

オーナー業務だけでなく、自身も施術にあたる

——なるほど！この前Sakaeさんのマッサージを僕も受けてみましたが、終始安心できる雰囲気で、途中からマジ寝しちゃいました笑

最終的には一緒にいるだけでリラックスできるような人になりたいと思っています。

あと、問題や危機に対して少し冷静に対処できるようになりました。もしお店に強盗が入ってきても大丈夫かな? 笑。

——今後の目標はありますか？

私の場合は、級を上げることよりも合気道を習慣化し生活の一部にして、心身の健康維持を目指したいと思っています。

——習慣化を目標にするのはSakaeさんらしいですね。同年代の方に伝えたいことはありますか？

高齢者になると、自ら始めること億劫になり、また、すぐ諦めてしまうことが多くなりがちです。ちょっとした日常のケアや運動の習慣化で健康体を保てるのに、自分の能力を発揮できないのは、もったいないと思います。それは、身体の問題ではなく、特に心の問題が大きいと思います。

合気道は心身ともに健康になるので、是非トライしてみてほしいですね。

癒し処　晴屋

——ありがとうございました！またサロンの方にもお邪魔します！！

ぜひいらしてください！