「受け入れることで、人と組織は動き始める」生徒インタビュー Part4 Kafukuさん

インタビュー

無限塾には、様々なプロフェッショナルを持つ大人や才能あふれる子どもたちが、合気道を学ぶことで日々の困難に打ち勝ち人生を豊かにしています。

「生徒インタビュー」の第4回は、東京道場のKafukuさんに、仕事や家庭でどのように合気道を活かしているかお聞きしました(文、撮影:すがわら)。

Kafukuさん
養神館合気道1級、合気道歴5年。品川の精進合気道で合気道を始め、コロナ禍を機に無限塾に移り稽古に励む。普段は銀行の営業企画部門の管理職として、45人の部下をマネジメントしている。趣味は海釣り。

合気道は自分の意思で始めたわけではなかった

——合気道はどういったきっかけで始めたんでしょうか?

いや〜、これが変な話なんですが、私は最初やるつもりなかったんです笑

妻がチャン・ツィイーという女優が好きで、その人がドラマでやっていたカンフーを子供と一緒に習おうとしていたんですが、近くにカンフーを習えるところがなかったので、代わりに合気道を選んだんです。

私は最初二人の送り迎えだけだったのですが、しばらくして妻から「体力的に続かないから代わりにお願い」と言われ、それがきっかけで私も合気道を始めました。

——ご自身の意思で合気道を始めたわけじゃなかったんですね!

そうなんです。

学生時代はラグビーをやっていてもともと身体を鍛えるのが好きだったので、最初は稽古中の筋トレ目当てにやっていました。それが次第に変化して、合気道をやるために稽古に参加するようになっていきました。

しなやかに相手の力を活かす術が学べる事が合気道の魅力

——Kafukuさんはほぼ全ての稽古に熱心に参加しています。合気道のどんなところが魅力だと思いますか?

私は仕事や生活のいろんな場面で「しなやかさ」を大切にしたいな と考えていまして、合気道が相手の力を活かしながら「しなやかに」相手を制していくことを意図している事を知って、合気道にハマっていきました。

昔、若かりし頃(笑)、私は人を思い通り動かすためにかなり力技や直球勝負をしてしまう行動様式でして、常に早くゴールに着くことだけを考えて、ぶつかることもお構いなし。だから相手の話をしっかりと聞くこともなく途中で遮って「分かった分かった」とか「いいからこれやって」なんてことをよく言ってました。

反発せず受け入れることで、人と組織は動き始める

——今の温和なKafukuさんからは想像できないですね。

そんな自分が30代の頃に、仕事でもっと強引に力技を使う上司に精神的に折られてしまったことがあり、その経験を経て、この調子ではいけない、力業ではダメなんだと強く思い始めました。

そこから人との接し方や人の動かし方を考えるうちに、40歳くらいで「しなやかに、しなやかに、やわらかく、やわらかく」ということを意識するといいのかな というところに至り、今は間もなく50歳ですがいまだに試行錯誤中です(笑)。

—— Kafukuさんのいう「しなやかさ」とは具体的にどういうことですか?

自分の外側で起きるいろんなこと、例えば会話の中での相手方の発言だったり自分が置かれている状況だったり にいちいち反発せずに、まずは受け入れたところから行動を起こすことだと思います。

仕事でも生活でも、なにか物事を進めようとすると考えていた通りに行かないことが多々ありますよね。仕事だったらお客様だけでなく、内部からも「そんなのできないよ〜」反発されたり、生活では奥さんから「〇×▽!!!!」と無理なお願い(命令?笑)があったり。

そんなときは、うまく動いてくれない人を無理やり動かそうとするのではなく、相手の発言を一度自分の中で消化して「ああ、ここがスタート位置なんだな」と見定めた上で、そこから自分が目指している目的に行くまでの障害物をつぶしていく共同作業に入っていく。そうすることで、相手方は納得した状態で進んでくれる。結果的に物事ががうまくいったり、返って早く進んだりすることが多い気がします。ただ、奥さん相手ではなかなかうまくいきません(笑)。

常に心の中で構えることの大切さ

——Kafukuさんの「しなやかさ」についてもうちょっと教えて下さい。それはつまり、「戦略的に考える」ということでしょうか?

「戦略的」というよりは、「もう少し引いて俯瞰してみてから動き出す」という感覚です。受けというか。

人材育成や組織力の議論をするときに「レジリエンス」って言葉がありますが、僕はこの言葉が好きで、これは「どれだけしなやかに物事に対処できるか」が要求されているのだと思うんですね。

自分に振りかかってくるものには良いものも悪いものも有る。そういう降りかかってくるものがある前提で心の構えをとっておく。何かにいちいち反応してぶつかるのではなく、圧力を受け入れて、いなして、でも最終的には自分の持っていきたい方向にしなやかに誘導していくんですね。

※ レジリエンス(resilience)とは、「回復力」「弾性(しなやかさ)」を意味する英単語。困難な問題、危機的な状況、ストレスといった要素に遭遇しても、すぐに立ち直る力を指す。

——なるほど。「しなやかさ」って合気道に似ている部分がありますね。

誘って、相手が動いて、その動きを使って最終的に相手をしなやかにコントロールする。これってまさに合気道でやろうとしていることと同じだと思っています。

合気道は自分から攻めない、相手起点の武道です。特に、相手から押したり打ってくる(二)の動きは、一旦相手の動きを受け入れてから自分の目的通りに持っていく、「しなやかさ」を意識的に体現する動きで、こういうことが無意識にできるようになるときっとレジリエンスというものが成長していくんだろうな と思います。なので、私は(二)の練習が特に好きですね。

「守」を学んで、新しいメンバーと積極的に練習していきたい

——もうすぐ初段に挑戦ですね。これからの意気込みを教えて下さい。

合気道の理合(=理屈)をもっと学びたいと思っています。守破離の「守」をしっかりと身に着けた上で自分なりの合気道の形を作っていきたいと思っています。

あと、新しいメンバーとやると本当に学びが多いので一緒に学んでいきたいです。

——最後に、合気道をしようとしている人にアドバイスはありますか?

うちの子供は5才から6年間、合気道をやっていましたが、彼の成長にとって非常に良い経験だったと思います。子供におすすめです。

稽古の場で仲間とフィジカルに触れ合い、体はどう動くのか、どうすると自分や相手が痛いのか、を自然と理解できることもありますが、特によかったと思うことは稽古前の黙想で意識的に心を静かにさせる経験を積むことができた点ですね。。今稽古にきている小さい子供たちもしっかりと黙想ができていて驚かされますが、意識して心を静かにさせる経験を早くに積み、自分の精神をコントロールする能力を育てることは何においても大切だと感じます。子供が興奮しているとき(叱るとき?)は「ちょっと黙想しなさい」といって落ち着かせることがよくありました。

あと、合気道をやると子供は集中力がつきます。周りが集中する環境に身を置くのも意外にあまりないのでぜひ習ってほしいなと思います。

 ——ありがとうございました!7月の昇段審査頑張ってください!

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