【コラム】合気道とアートの共通点、そこから合気道の発展を考える

コラム

こんにちは、指導員の菅原です。

先日、シニア向けのクラス「ゆっくり合気道」の生徒3名と東京都庭園美術館に行ったのでそのお話をします。

稽古後に生徒とお茶をしていたら、実はアートに詳しい生徒が多いことが分かり、そこから「合気道を海外でするならアートは教養として知っておくと良い」というアドバイスをもらったので、改めて翌週の稽古後に行ってきました(ちなみに皆さん何度もその美術館に行っている方で、私だけ初めて。ありがたい。。。)

東京都庭園美術館の紹介

東京都庭園美術館は、目黒にある美術館で、もともと朝香宮家の住居でした。1933年に竣工しました。

当時フランスで全盛だったアールデコ様式を取り入れ、日仏の世界的な芸術家・技術者たちが手掛けました。アール・ヌーヴォーの様式や日本のデザインも取り入れられており、貴重な調度品が当時のまま保存されています。

私が行ったときには蜷川実花展が開催されていて、アール・ヌーヴォーとアール・デコの質感に、彼女のビビットな写真が調和していてとても綺麗でした。

https://www.teien-art-museum.ne.jp/

合気道を現代の武道として育てることの大切さを強く感じた

美術館に訪れ、生徒と話をする中で、合気道を現代の武道として育てることの大切さを強く感じました。

芸術は歴史の潮流の中で成り立っています。過去からの変遷、そしてその当時に求めれらた表現を造り手が考え形にします。

合気道もちょうど100年前に開祖植芝翁が創始しました。私の拙い認識では、多くの道場が開祖の技術と精神性を「正」とし、それらに近づくことを目的化しがちです。

しかしながら、大切なのは芸術のように、歴史を捉えつつ現代に合わせて創り変えていくことです。

合気道の開祖、植芝翁も若い頃は筋肉隆々で激しい剛スタイルでしたが、歳を重ねるに連れ、よりソフトな柔のスタイルに移り変わりました。弟子たちが、どの時代に稽古を受けたかで流派が別れました。

若き日の開祖 植芝盛平 結構ごつく、服が筋肉で盛り上がっている
晩年の開祖 小柄な印象

ちなみに、蜷川実花さんも最近はビビットではない作風になってきているとのこと。

合気道を現代の武道として発展させるための大切な切り口

では、合気道を現代の武道としてどう発展させればいいのでしょうか?

合気道には「技術」と「精神修養」の2つの大切な切り口があります。それをもとに以下の通り整理してみました。

合気道ができた時代と現代とを比較してみると、日本が不安定ながら成長していた時代から、成熟しきって経済的な成長は見込めなくなっているという違いがあります。

コミュニケーションの様式も変わってきて、多様性が増してきたものの答えがわからず、価値観を構築して実行できる人だけが幸せになる時代になってきている、というのが私の考えです。

第4世代の合気道家として

私の年代は、開祖とその弟子の塩田剛三先生とも一緒に稽古したことがない世代です。塩田剛三先生の弟子から合気道を学んだ、いわば第4世代の合気道家です。

過去の研究をするばかりでは、解像度が先人の先生方よりも落ちるだけです。技の歴史を捉えつつ、現代流にアレンジしていくことでのみ、合気道を日本の文化として誇れるものにしていけると考えています。

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